急激に数を増やす外来種【その1】チュウゴクアミガサハゴロモ

皆様の報告結果から、新参者の外来種が急激に数を増やしていることがわかりました。

チュウゴクアミガサハゴロモは、中国原産のカメムシ目ハゴロモ科の小さな昆虫です。
9月28日時点で、市内ほぼ全域から調査隊8名の方により138件の報告がありました。
https://www.inaturalist.org/observations?d1=2024-04-01&project_id=tama-city-biodiversity-survey-team&taxon_id=565012

iNaturalistでの多摩市の初記録は2023年9月9日に大栗川の明神橋近くで報告されたのが最初ですから、まだ1年しか経っていません。
今年はどこにでもいる印象です。一度に見かける個体数も多いです。
昨年の市内の記録が8件で、今年9月28日までで94件ですから、急増ぶりがよくわかるでしょう。昨年は、成虫は11月8日まで確認されています。
(もちろん今年の方が観察者が多いので考慮しないといけませんが。。)

外村・大原(2024)によれば、国内では2017年に大阪府から複数の個体が採集されて以降、本州(関東地方,近畿地方)や九州などで分布を拡大しており、千葉県(2023)、東京都(2023)、神奈川県(2022),岡山県(2023)などの記録があるようです。
https://museum.bunmori.tokushima.jp/kiyo/2024/06_Tomura_Ohara2024.pdf

お隣の神奈川県では、育てていた樹木の枝が枯れてしまう農業被害が報告され、神奈川県農業技術センターが今年8月14日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令したようです。https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2024/08/240819-75925.php
これによると、
『被害としては、成虫と幼虫が枝に寄生し、吸汁。発生が著しいと排泄物によりすす病を発症する。産卵の際に枝を傷つけることで樹勢を衰弱させる。直径10mm以下の細い枝に産卵するため、枝が折れることもある。』
『同種は広食性で、カバノキ科、クワ科、ブナ科、マメ科、モクセイ科などの寄生が報告。神奈川県においては、モクセイ科、ツツジ科、モチノキ科、ニシキギ科、ヒノキ科およびフトモモ科樹種における寄生を確認している。』
『同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇7月現在、ブルーベリー、オリーブおよび樹木類では本種に登録のある防除薬剤はない。
〇同種の産卵痕がある枝は見つけ次第除去し、適切に処分するなど、耕種的防除に努める。』

海外では、クリやカキなどへの被害も報告されています。
市内では、ブルーベリー、オリーブ、クリ、カキとも栽培・植栽されています。被害がなければ良いのですが。

このようにiNaturalist上で観察結果を記録していくことで、新たな外来種の侵入経緯やその後の増加傾向を把握できる貴重な基礎データとして利用できます。ここまで急激に増える外来種の対策は簡単ではないと思いますが、皆さんの報告が対策を検討する際の手がかりになるかもしれません。引き続き、チュウゴクアミガサハゴロモに注意してください。
(2024年10月6日編集)

Posted on September 28, 2024 11:50 PM by tbc_watanabe tbc_watanabe

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